「Life to Come」全曲解説
GWですね〜。お知り合いではバリに行かれる方々もいらっしゃるようで誠に羨ましい。
アルバムは予想外に売れてまして、本当にありがとうございます。知り合い関係だけじゃなくて、全然知らない方々が買って下さったりとか、今までにない傾向なのが嬉しいです。
以前も書いたように、今回のアルバムは「妄想」とも言えるバリへの憧憬、イメージで作っていったので、それぞれ、僕の頭の中には完全な絵があるのですが、それを説明するとなんだか違うような気もするのです。
けれども、どういう思いなのか、そのベクトルを掴んでもらうと、例えばバリに行ったことがない人もなんとなくその断片が分かってもらえるじゃないかという気もするので、ちょっと書いてみたいと思います。(下記、曲のサンプルは1分のみ、ダウンロードはできません)
(タイトル)
直訳すると「来るべき生」みたいな意味で、簡単にいうと「来世」。というと何となく抹香臭いですが、僕にとっては「Alternative World」的な意味です。ここにないけど、どこかにある世界。そんなことを考えていたのも、入院したことが大きかったのかもしれないですね。
1. Ylang Ylang
昨年の割と早い時期に作った曲。「イランイラン」と読みます。花の名前です。
「匂い」の表現。バリと匂いというのはとても密接な関係があって、そこからいくらでもイメージが出てくる気がします。かつてバリの市場でこの花の精油を買ったとき、その匂いの情報量の多さに圧倒されました。エロティックな感覚とその闇、というか。嫌な匂いではないんだけど、人間のどろっとしたところを感じるというか。うまく言えないです。
2. Duckling Hours
ずばり「あひるソング」。バリではたまに道ばたでアヒルを連れているおじさんに出くわしますが、要は合鴨農法的に飼われているわけです(ですよね?)。
仕事してるんだかしてないんだか分からないアヒルのいる田んぼを眺めていると、本当に世界はかくあるべき、みたいな気持ちになる。そういう風景と自分の気持ちとの遠近感を表してみたかったのです。
3. Monkey’s Palace
この曲を使っているサンプリング音源制作者(ロンドン)に送ったら、「3拍子のガムランがめずらしい」といわれました^^
猿の惑星じゃないけど、猿が牛耳っている王国。気取った猿たち。最初は「うぬぼれた猿」っていうタイトルでした。決して友好的じゃないんですよね。話しかけたら貴金属を盗まれたりして^^ なぜか外国人の反応がいい曲。不思議ですね。
4. Banyan
バリを移動していると、たまに道が開けてそこに大きな木が立っていることがあります。それがたいてい、バンヤンツリーなんですが、そこに集う村人。明るい昼間なんだけど、雨の予感を孕む、みたいな。村のおじいさんに話しかけると「明日は降る」とか言いそうな。唯一、リンディック(竹ガムラン)を使った曲。元サンプルにチューニングを合わせてあるんですが、全く合わなくてクオーターでようやく合ったという。
5. Missing Puppeteer
1930年代にバリで数々の芸術をプロデュースしてきたヴァルター・シュピース氏。今回のアルバムは割と彼の作品だったり言動だったりに影響を受けているところがあります。氏について書くと長くなるので端折りますが、彼がつくった絵画作品「チャロナラン」から着想を得た曲。暗闇の表現。バリは闇の中に何かがあるんです。これについては僕は京都と同じ感じがするんですね。不思議なんですが。
6. Spies in the Garden
具体的に名前を出しました。Spiesがヴァルター・シュピース氏です。彼はバリでどんな毎日を送っていたのだろう、という想像を音にした曲です。彼はウブド、チャンプアンに住んでいたことは有名ですが、その後、イセーという村に引っ越しています。とても風光明媚なところですが、恐らくウブドよりはもっと光に包まれていたんじゃないかと。彼が仕事を終えて午後に庭で遊ぶ、そんな風景をイメージして作りました。
7. Rain & Sleep
雨期ですね。雨期に行くことが多いということもありますが、バリと雨というのは実はとてもリリカルなんです。なんだろう、外に出られないせいか、部屋でいろいろ考え事をするからでしょうね。グルーミーなんだけど暑い。僕はその感覚がとても好きです。ガムランの中でカジャールというテンポキープをする楽器の音がとても好きで、それがとても雨な感じがします。
8. Iseh
これが先ほど書いたシュピース氏が最後に移り住んだ村の名前。バリの北東部にあるんですが、僕はまだ行ったことないんです。ずばり彼の作品「朝日の中のイセ」に触発されて作ったもの。なので絵画から感じることしか表現できていないとも言えます。でもなんとなく想像できる。朝日といえどもどこか暗い。僕はその暗部に魅力を感じるのです。この曲は打ち込みがほぼなくてインプロビゼーションで演奏してますね。
9. Boat for Buleleng
これも地名。ブレレンというのはバリ北部にある港の名前。実はここも行ったことないんです^^ 要は飛行機がなかったころのかつての港町。オランダ統治時代の雰囲気が残っているそうです。昔はジャワから船でまずブレレン港に着いたんでしょうね。
恐らくここでも出会いと別れがあったと思うんです。恐らくシュピース氏も意気揚々と来て、そしてしょんぼり去っていったんじゃないかな。でも出会う瞬間っていいですよね。そういうことをイメージして作りました。7/8拍子です。おそらくガムランにはないビートだと思います。
10. Come to the World
一番最初にできた曲。最初はギターとかピアノとか入ってたんですけど、ガムランにアレンジし直しています。いつも曲を聴いて下さっているぷーこさんのビデオ(バリでのウパチャラという生後3ヶ月の儀式)を見ながら作ったものです。あまりガムランっぽくはないのですが、この世に生を受ける、というテーマは昨年の僕にとってとても重要だなと思って採用しました。我ながら優しくていい曲だと思っています。
ということで、CD、データ両方で発売中です。暑くなる折、ビールでも飲みながらぜひのへ〜っと聴いていただければ。そして今日本人があまり行かなくなっているらしい、バリに少しでも興味を持っていただければ。
| Life to Come | |
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Kyoichiro Kawamoto
Kyoichiro Kawamoto 2012-04-04 |

















